車両が通る場所のU字溝やグレーチング設計で、どこから手を付けるか迷っていませんか。
- T-14/T-25のどちらを採用すべきか判断がつかない
- 輪荷重や接地面積、進行方向が強度にどう効くか整理したい
- U字溝本体と蓋の仕様を同じ基準で整合させたい
本記事では、「道路橋示方書」の考え方を基本に、輪荷重と接地面積の算定、部材の向きと進行方向の関係、衝撃係数、そして断面係数による照査までを一連の流れで解説します。計算の要点と注意点を正しく理解することで、過不足のない、経済性と安全性を両立した選定が可能になります。

和歌山全域・南大阪・奈良のインフラ整備を支える「有紀機材」は、地域に根ざした建設資材の専門商社として、U字溝をはじめ高品質なコンクリート製品を迅速にお届けします。
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有限会社 有紀機材
代表 赤井 勇貴
本記事をご覧いただき、ありがとうございます。
15年の現場経験と、1級土木施工管理技士・測量士・技術士補の国家資格に基づき、建設資材の品質とコストに直結する「心から信頼できる実用的な知識」を、現場目線でお届けいたします。 皆様の確実な業務遂行の一助となれば幸いです。
車両乗り入れU字溝強度計算の全体像とは?
車両が通行する場合の設計では、U字溝本体と蓋(グレーチング)の双方が同一の荷重条件で整合していることが重要です。
プロセスとしては、まず車両総重量から前後輪への荷重配分を算出し、最大となる一輪荷重を特定します。次に、その荷重をタイヤの接地面積に分布させます。ここで重要となるのが、グレーチングの主部材(ベアリングバー)の向きと、車両の進行方向(直角か平行か)の関係です。
どの主部材間に最大の荷重が作用するかを見極め、衝撃係数を考慮した上で、断面係数と許容応力度を用いた照査を行います。最後に、その結果をU字溝本体の設計強度と突き合わせ、構造全体としての安全性を確認します。道路や横断溝においては、T-14やT-25といった荷重区分を、道路橋示方書の規定を準用して設定するのが一般的です。

この全体像を踏まえ、以降で各ステップを深掘りします。
T荷重の設定と適用区分
T荷重は、道路橋の設計において用いられる活荷重(自動車荷重)の区分であり、U字溝や側溝のグレーチング選定においても基礎的な指標となります。用途と通行車両の特性に基づき、適切な区分を選定します。
道路橋示方書におけるT荷重の考え方
T-14やT-25は、自動車の総重量(トン数)を基準とした設計荷重を表します。横断溝や道路脇の側溝設計では、この総重量をベースに輪荷重を算定します。 輪荷重は前後輪に配分されて作用するため、設計においては「最大となる後輪の一輪荷重」を特定することが出発点となります。さらに、走行による動的な影響(衝撃)を考慮するための「衝撃係数」を加味し、許容応力度との比較検討を行います。
参照元
- 日本道路協会 道路橋示方書・同解説(設計活荷重の考え方)https://www.japanroads.or.jp/
- 日本道路協会 書籍案内(道路橋示方書)https://www.japanroads.or.jp/book/
現場用途別の目安
生活道路の側溝ではT-14以上が基本です。自動車の通行が中心で、溝幅や桝寸法に合わせて主部材断面を選びます。集配車や大型車が入る施設はT-25を目安にします。フォークリフトが頻繁に通る場合は、T荷重だけでなく接地面積が小さいことで生じる高い面圧を重視して評価します。進行方向がバーと平行だと一本あたりに力が集中しやすく、直角より厳しくなる点にも注意します。
注意点
T荷重は道路橋向けの基準です。工場ヤードなどではフォークリフトの狭い接地による局所荷重を別途評価してください。進行方向が一定でない横断溝では、バーに対して直角・平行の両ケースで比較すると安全側です。桝や受枠の形状・据付精度・支持長も結果に効くため、図面通りの支持条件になるかまで含めて確認しましょう。

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車両諸元から輪荷重・一輪荷重・接地面積を求める手順
強度計算には、車両総重量と前後配分に基づき片側の一輪荷重を決定し、それをグレーチング上の接地面積に換算するプロセスが必要です。また、車両の進行方向との関係性も整理します。
入力データの整理
- 車両総重量(最大)
- 前後輪の荷重配分割合(例:前40%、後60%)
- 軸配置(2軸、3軸など)と輪距
- タイヤサイズまたは空気圧からの接地面積推定(荷重/空気圧の近似も可)
- 通過方向(ベアリングバーに直角か平行か)

計算の基本式(概略)
輪荷重は「車両総重量 × 前後配分 × 0.5(片側) × 1/輪数」で概算します。通常、後輪側の方が荷重が大きくなるため、後輪の一輪荷重を設計基準とします。 接地面積は、簡易的には「輪荷重 ÷ タイヤ空気圧」などで矩形(長方形)に近似し、主部材に作用する荷重の幅(載荷幅)を決定します。
この接地面積が、グレーチングの主部材何本分にまたがるかによって、曲げモーメントの評価が大きく異なります。進行方向が主部材に対して直角であれば荷重は分散しますが、平行であれば少数の部材に集中するため、より厳しい条件となります。
【簡易例】
- 車両総重量12t、前後配分40:60、単輪、空気圧700kPa
- 後輪一輪荷重=12×0.6×0.5=3.6t(約35.3kN)
- 接地面積≒35.3kN/0.7N/mm²≒50,400mm²(約225×225mm相当)
この面積が主部材にどう投影されるかで曲げの評価が変わります。
グレーチングの主部材と進行方向の関係
グレーチングの強度検討において、ベアリングバー(主部材)の配置方向と車両の進行方向の関係は極めて重要な要素です。この条件設定を誤ると、計算結果と実際の耐力に大きな乖離が生じるリスクがあります。
進行方向が直角の場合
タイヤの接地荷重が複数本のベアリングバーに分散して作用するため、一本あたりの部材に発生する曲げモーメントは相対的に小さくなります。一般的に、道路横断溝では車両進行方向に対してベアリングバーが直角になるように製品を設置します。多くのカタログに記載されている適用荷重は、この「直角通行」を前提とした数値であることに留意が必要です。
進行方向が平行の場合
タイヤの接地面が、ごく少数のベアリングバー(1〜2本程度)に集中して載荷されることになります。荷重が分散されないため、直角通行時に比べて発生応力が大幅に大きくなり、最も過酷な条件(最不利条件)となります。 この場合、主部材の高さを上げて断面係数を増やす、部材ピッチを密にする、あるいは支間(スパン)を短縮するといった対策が必要となります。
フォークリフトが通行する場合の留意点
フォークリフトは接地が小さく面圧が高いのが特徴です。旋回を伴うと平行・直角が混在するため、最不利方向で照査します。圧接や溶接部の固定強度、たわみ・ガタの管理も合わせて確認すると安心です。
耐荷重強度計算の手順とポイント
作用荷重の特定から断面照査、支持条件の確認に至るまで、手順を追って進めることで設計の漏れを防ぎます。特に衝撃係数や進行方向の条件を初期段階で確定させておくことが、手戻りのない効率的な設計につながります。
作用荷重の設定(T荷重+個別諸元)
選定した荷重区分(T-14/T-25等)に基づき、車両諸元から輪荷重を設定します。接地面積と進行方向、バーの向きを整理した後、「衝撃係数」を考慮して設計荷重を割増します。 衝撃係数(i)は、通行速度や路面状況に応じて設定しますが、側溝蓋のような短支間部材では一般的に i=0.3(30%増)や i=0.4 程度を見込むケースが大半です。ただし、適用する基準(道路橋示方書や各メーカー基準)を確認してください。
断面性能の照査計算
以下のように荷重分布モデルに基づき、主部材に発生する最大曲げモーメント(M)を算出します。

支持条件と有効スパンの確認
溝幅や集水桝の内法寸法から、グレーチングの実効スパン(受枠の掛かり代を除いた支間距離)を正確に把握します。受枠の形状や設置精度、ガタつきの有無は応力の増加要因となるため、詳細図面における納まりの確認が不可欠です。

U字溝本体とグレーチングの仕様
構造物の強度は蓋(グレーチング)単体では成立しません。それを支えるU字溝本体、集水桝、受枠を含めたトータルな整合性が求められます。
構造物の強度は蓋(グレーチング)単体では成立しません。それを支えるU字溝本体、集水桝、受枠を含めたトータルな整合性が求められます。
U字溝本体の仕様確認
コンクリート製品(U字溝)のカタログや仕様書を参照し、以下の項目を確認します。
- 設計耐荷重: 本体がT-25対応か、T-14対応か。
- 部材厚と鉄筋量: 側壁厚や底版厚、配筋が想定荷重に対して十分か。
- 設置環境: 通行荷重によって生じる地盤反力や、埋戻し土の状態、コンクリートのかぶり厚などが適切か。
グレーチング種別の選定と機能性
- スチールグレーチング(圧接型): 強度と経済性のバランスに優れ、一般的です。
- ボルト固定式: 車両通行時の騒音防止や、蓋の跳ね上がり・盗難防止に有効です。
- 細目(さいめ)タイプ: 車椅子やベビーカーの通行、ハイヒールの落とし込み防止が必要な歩道部に適しています。
具体的な計算例と比較表
同一の輪荷重であっても、主部材に対する進入角度によって発生応力は劇的に変化します。以下は、その差異を示した概略比較です。
【前提条件】
- 後輪一輪荷重:40kN
- 接地面積:200×200mm
- 支持スパン:600mm、主部材ピッチ:30mm
- 衝撃係数:考慮あり
| ケース | 方向 | 実効本数 | 単位本あたり荷重 | 応力イメージ | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 直角 | 約7本 | 小 | 許容内 | 可 |
| B | 平行 | 約2本 | 大 | 許容超 | 要増強 |
実務では接地形状、分布係数、支持条件を設定し、曲げ・せん断・たわみを総合的に評価します。
よくある落とし穴と対策
設計段階で見落とされがちなリスク(盲点)と、その有効な対策を整理します。
見落としポイント
- T-25を満たしても、フォークリフトの狭小接地では不足する場合がある
- ベアリングバーの向きと車両の動線が運用で変わり、想定と違う方向で荷重が作用する
- 桝穴の内々寸法が図面と違い、支間が増えて強度が低下する
実務対策
- 最不利方向(平行・直角)を両方チェックする
- 旋回経路を含めた通行方向を運用側と合意する
- 納品前に現地実測でスパンと受枠を確認し、型番を最終確定する

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設計時に押さえるミニチェックリスト
- 荷重区分の設定(T-14/T-25等)
- 前輪・後輪片側の一輪荷重の把握
- タイヤ接地面積の設定根拠
- ベアリングバーの向きと進行方向の確認
- 衝撃係数の考慮
- 設置スパンと支持条件の確認
- 許容応力と断面係数の整合
- U字溝本体・桝の耐力との整合

まとめ
車両乗り入れ部のU字溝設計においては、単に「T-25」という名称だけで判断せず、荷重の伝達メカニズムを理解することが不可欠です。
輪荷重、接地面積、そして「進行方向と部材の向き」の関係を正しく整理すれば、構造的な弱点を特定できます。特に、荷重が集中する「平行通行」や、高面圧となる「フォークリフト荷重」は、破損事故につながりやすいポイントです。これらを最不利条件として検証し、U字溝本体や受枠を含めたトータルな強度バランスを確保することで、長期間安心して使用できるインフラ品質が実現します。

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