建設工事の受注拡大と人材確保対策|人手不足下で成果を出すための戦略

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建設業では「受注はあるのに人が足りない」が常態化し、対応を誤ると利益も現場も疲弊します。次のような悩みはありませんか?

  • 受注を増やしたいが、技能・人員が合わず受けきれない
  • 協力会社が減り、工期やコストが不安定になっている
  • 業務のデジタル化を進めたいが、何から手を付けるか迷う

本記事は、受注管理の最適化、協力会社連携、業務効率化、採用と育成までをつなげて解説します。能力の見える化とスコアリング、標準化とデジタル連携、教育と評価の連動で、同じ人員規模でも、安全に多くの案件を受注できる状態を目指します。

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有限会社 有紀機材
代表 赤井 勇貴

本記事をご覧いただき、ありがとうございます。
15年の現場経験と、1級土木施工管理技士・測量士・技術士補の国家資格に基づき、建設資材の品質とコストに直結する「心から信頼できる実用的な知識」を、現場目線でお届けいたします。 皆様の確実な業務遂行の一助となれば幸いです。

目次

建設工事の受注拡大と人手不足対策について

建設工事の受注拡大と人手不足対策について

受注を伸ばすほど人手不足が表面化しやすいのが建設業です。設計から施工、管理まで多様な技能が必要で、1社だけで完結させるには限界があります。そこで重要なのが、受注前からの生産能力の見える化と、案件に応じた人材・協力会社・システムの柔軟な組み合わせです。

大枠は次の三点に集約できます。

  • 受注管理の精度を上げ、引合いから着工までの内部での所要時間(期間)の短縮
  • 協力会社や外国人材のネットワークを広げ、技能の偏りや繁忙期に強い体制を形成
  • テクノロジーと標準化で設計・施工・管理の生産性を引き上げ、同じ人数で安全に多くの案件を回す

まずは現状を把握し、原因と課題を整理しましょう。

2024年以降の建設業界における人手不足の原因と影響

人手不足の背景には、次のような要素が重なった背景があります。

  • 高齢化と若年層の入職減
  • 長時間労働のイメージ
  • 賃金と技能のミスマッチ
  • 協力会社の縮小 など

特に2024年以降は働き方改革の影響で、長時間労働の抑制が一段と求められ、現場のやり繰りが難しくなりました。さらに建設業界においては、就業者の高齢化と技能継承の遅れが指摘されています。若年層の入職は他産業に比べて少ない傾向が見られます。

影響として、工期の余裕が減り設計変更や悪天候へのバッファが確保しづらくなっています。受注の選別が増え、機会損失や利益圧迫が起きやすい状態です。賃金や外注費の上昇も避けられず、コストと収益の管理が一段と重要になりました。

【参考】
厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
国土交通省「建設業を巡る現状と課題」

機会損失を防ぐための受注管理の最適化

人手不足が懸念される昨今では、引合いから見積、設計、施工計画、資機材・人材の確保までの流れを素早く回す仕組みが欠かせません。案件数を無闇に増やすのではなく、勝てる案件に集中させ、自社と協力会社の技能に合う業務を選びます。

予実管理と能力の見える化

現場単位の工数、保有技能、協力会社の稼働、設計・施工の標準時間をデータ化し、受注判断の材料にします。KPIは受注単価、粗利率、見積ヒット率、リードタイム、キャンセル率などを設定し、週次で確認します。

能力を見える化せずに営業を強化すると、長時間労働や離職の増加につながりやすいため、管理の整備を先行させましょう。

フローチャート「引合い→適合度スコア→優先度→資源確保→見積→受注→着工」。判断の標準化を目的とする。

スコアリングと優先順位付け

スコアリングにより勝てる仕事に集中し、赤字や遅延を招く無理な受注を避けられます。

  • 成功要因(設計条件、工種、発注者、地域、工期、技能要件)をテンプレート化
  • 難易度と技能適合度をスコア化して見える化
  • 適合度が高い案件は即応、低い案件は共同企業体・協業・辞退で判断

システム導入と運用設計

SFA(※1)やCRM(※2)、見積・原価・工程の一気通貫管理、BIM/CIM連携(※3・4)、案件ドキュメント管理を統合します。少なくとも受注台帳と工程・人員計画が同じ画面で確認できる状態にすると、ダブルブッキングや外注手配漏れを防止できます。中小企業はスプレッドシートから始め、将来拡張を見据えた要件定義を行いましょう。

この基盤が整うと、協力会社や外部人材を無理なく組み込めます。

(※1)SFA…(Sales Force Automation、営業支援システム)は、顧客情報、商談の進捗状況、営業担当者の行動をデジタル化し、一元管理することで営業プロセスの効率化・最適化を図るITツール

(※2)CRM…(Customer Relationship Management:顧客関係管理)とは、顧客の氏名、連絡先、購入履歴、問い合わせ対応履歴などの情報を一元管理・分析し、顧客一人ひとりに適した対応を行うことで、良好な関係を築き、売上向上やファン化(LTV向上)を目指す手法やシステム

(※3)BIM…BIM…BIM(Building Information Modeling)は、コンピューター上に3次元の建物モデルを構築し、材料・性能・コストなどの属性情報(データベース)を一元管理する建築手法

(※4)CIM…(Construction Information Modeling/Management)は、土木インフラ(道路、橋梁等)の計画、設計、施工、維持管理の各段階で3次元モデルに属性情報を付与・活用し、業務効率化や高度化を図る取り組み

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人手不足を解決するための協力会社と外部人材の活用強化

人手不足の解消には、協力会社ネットワークの拡充と、技能の偏りを埋める外部人材の活用が欠かせません。施工と管理の両面で、品質・コスト・工期のバランスを取る設計が鍵です。

協力会社ネットワークの再設計

  • 分野別(設備、土木、内装など)に主力、準主力、スポットの三層構造を構築
  • 年間ボリュームと支払条件を明示し、安定的な受注で関係を強化
  • 安全、品質、技能の評価を四半期で見直し、教育投資を共同で実施

価格だけでなく、技能と安全を重視した評価軸に切り替えると、長期的な力が安定します。

外国人材などの多様な人材の活用

技能実習や特定技能の受入れでは、法令遵守と受入体制の整備が不可欠です。母語に対応した安全資料や、写真・動画・ピクトグラムでの視覚的指示を徹底し、品質と安全を担保します。女性や若年層、シニアの再雇用、設計・施工管理のリモート支援を組み合わせ、全体の底上げを図ります。

業務効率化と生産性向上に向けた具体策

テクノロジーを活用した業務の効率化と標準化は、人手不足対策の中核です。コスト削減だけでなく、品質と安全の安定化、離職率の低下にもつながります。

設計・積算・施工計画のデジタル化

BIM/CIMや3Dモデルで干渉チェックを早期実施し、設計変更のリスクを下げます。積算は単価データベースと連携し、見積のばらつきを抑制。設計・積算・工程の前倒しで、現場の長時間労働を抑えられます。

スクロールできます
項目従来運用デジタル連携
設計変更件数多く発生しやすい事前検知で削減
見積時間担当者依存で長いテンプレと単価データベースで短縮
現場残業繁忙時に増えがち前倒し計画で抑制

施工と安全管理の標準化と可視化

  • 現場共通の手順書、写真付チェックリスト、朝礼テンプレート
  • ウェアラブル(※5)やIoT(※6)で危険箇所を可視化し、巡回記録を自動化
  • 品質検査の基準を明確化し、手戻りコストを低減

標準化を行い、技能のばらつきをならすことで、若手や外国人でも一定水準の施工を実現しやすくなります

(※5)ウェアラブル…(Wearable)とは、「身に付けられる」という意味で、腕時計、眼鏡、衣類などの形をして身体に装着して利用する小型コンピュータ端末(デバイス)の総称

(※6)IoT…(Internet of Things:モノのインターネット)とは、家電、車、建物、センサーなどのあらゆる「モノ」をインターネットに接続し、相互にデータ通信や制御を行う技術

仕入れ先の変更が工期短縮と省人化につながる

人材不足の現場では、作業量を増やすよりも待機や手戻りを減らすことが効果的です。資材の納期安定性や搬入体制が弱いと、段取りが崩れて人が遊び、残業で埋める流れになりがちです。納期の確度が高い仕入れ先へ切り替え、搬入時間や荷姿を標準化できると、前日段取りが成立しやすくなり、同じ人数でも出来高を伸ばしやすくなります。

コンクリート養生を完成品に切り替えて工程の停滞を減らす

現場打ちコンクリートは打設後に養生期間が必要となり、その間に次工程へ進めないと工期全体の伸長につながります。工場で製造と養生を済ませたコンクリートの完成品を活用すれば、現場の強度発現待ちを抑えられる可能性があります。

据付中心の施工に寄せることで、天候や気温の影響を受けにくくなり、工程の見通しが立てやすくなります。

受注機会の取りこぼしを防ぐための調達と工程の一体管理

受注拡大には、施工体制だけでなく調達と工程の同期が欠かせません。資材の遅れや養生待ちが読めないと、着工判断が保守的になり、良い案件を見送る原因になります。納期と施工条件を前提に標準手順を作り、搬入計画と工程表を連動させることで、段取りの再現性が上がります。結果として工期遅れと応援依存が減り、次の案件に回せる余力が生まれます。

調達・原価・工程の一体管理

資機材の在庫・搬入と工程を同期させます。原価は実行予算とリアルタイムで比較し、逸脱したときに早急に是正しましょう。日報のデータ化により、工事別の原価、工数、労働時間が可視化され、翌期の見積精度が向上します。

効率化が進むほど、採用と育成への投資効果も高まります。

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若年層と技能人材を確保する方法と育成の仕組み作り

採用が難しい環境でも、選ばれる会社は「働きやすさ」と「成長実感」を提示しています。賃金や福利厚生だけでなく、教育と評価の見える化が効果的です。

採用チャネルと訴求の工夫

  • 高校や専門学校と連携し、インターンや現場見学を定期開催
  • 自社の施工・管理の強み、教育カリキュラム、キャリアパスを明示
  • SNSや動画で安全や技術、働く人の魅力を発信

応募者には、配属後3カ月・6カ月の育成計画、賃金テーブル、資格支援、残業の実績など具体情報を開示しましょう。

育成と技能継承の仕組み作り

OJTの属人化を避け、標準教材と評価シートで技能を見える化します。3カ月ごとに到達度を評価し、昇給や手当と連動。資格取得や多能工化に投資し、給与と責任のステップを明確にします。離職が増えやすい入社1年以内に定着面談を設定し、ミスマッチを早期に修正します。

人材の確保と成長が見通せると、法対応やコストも現実的に設計できます。次は注意点を整理します。

人手不足解消に向けた賃金、長時間労働、法令順守の注意点

人手不足対策は投資を伴うため、短期的にはコストが増える局面があります。法令違反や安全軽視は中長期の損失につながるため、基本を外さない運用が重要です。

よくある落とし穴と回避策

  • 賃金だけ引き上げて改善を期待→評価制度と教育投資が伴わないと定着しない
  • システム導入で現場が疲弊→要件定義と業務の流れの見直しを先行し、段階導入で負荷を分散
  • 外国人材の受入れが形骸化→法手続き、安全教育、多言語・視覚化が不足すると事故と離職が増える
  • 長時間労働の抑制が空回り→工程の前倒しと応援体制がなければ逼迫と品質低下を招く

厚生労働省の上限規制を前提に、工程と人員計画のバッファをルール化しましょう。

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受注と人材の両立を実現する運用

受注と人材の両立を実現する運用

短期・中期・長期の三段階で、受注と人材のバランスを最適化します。可視化と標準化を段階的に進め、社内の抵抗を下げます。

短期(0〜3カ月)|見える化と優先順位付け

  • 受注台帳、工程、人員・協力会社の稼働を一元管理
  • 案件を点数評価することで辞退や協業の判断を迅速化
  • 安全と品質の主要指標を週次レビュー
成果指標の例

見積リードタイム−20%、応札ヒット率+5ポイント、時間外労働−10%

中期(3〜12カ月)|デジタル連携と多層連携

  • 見積、原価、工程、日報のデータ連携を実装
  • 協力会社の三層構造と年間計画、共同教育を運用
  • 外国人、女性、若年層の受入れ体制を整備
成果指標の例

粗利率+2ポイント、工期遅延−30%、離職率−5ポイント

長期(1〜3年)|人材構成計画と継続改善

  • 複数の技能を持つ人材の育成と資格取得を計画的に進め、資格手当や成果手当で意欲を高める
  • 三次元設計・施工情報の活用を本格化し、工場での事前製作や部材の規格化を検討する
  • 重要業績評価指標の管理を経営会議の定例議題に組み込む
成果指標の例

受注単価の向上、再委託コストの最適化、安全指標の安定化

まとめ 

人手不足が深刻化する中で受注を伸ばすには、受注管理の見える化とスコアリング、協力会社との多層連携、デジタルと標準化による生産性向上、そして採用と育成の仕組み化を同時に進めることが重要です。法令遵守と安全を前提に、短期の改善と中長期の投資を組み合わせれば、案件機会を逃さず現場の負荷も下げられます。データに基づく判断で、工期・品質・コストの安定と人材定着を実現していきましょう。

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